2017年12月26日火曜日

【第47回】好奇心、人脈、柔軟性

前回「キャリア支援講演会」についてふれましたが、今回はその時に出たもう一つ別の質問の話をしてみようと思います。その質問というのは「海外で研究職を見つけるために重要なことは何ですか?」というものです。

大前提として研究実績や応募書類の書き方などは当然ながら大切で、それなりの勉強や努力を行って質を高める必要はあります。ただ率直に言って、私は研究業績を高めるだけでは競争の激しい現在の研究職市場で生き残るには不十分であり、もう少し別の観点から自分の能力を見つめ直す必要があると思うのです。

そこで私が考える重要な観点というのは「好奇心、人脈、柔軟性」の3つです。好奇心については、まず研究を継続していく強い動機が必要という意味で重要ですし、研究分野を拡げて可能性を高めていくという観点からも大切だと思います。また、好奇心が強い人は、例え慣れない国に住むことになっても、きっと新しい環境で生活を楽しむことができるでしょう。

それから、就職市場におけるチャンスというものは宝くじのような運任せではなく、必ず人間が運んできてくれるものだと私は考えています。この観点から人脈はとても重要です。人脈を使った研究職への就職活動というと「フェアではない」と言う研究者が時々いるのですが、むしろ人脈と全く無関係な就職活動などというものはほとんど存在しないというのが研究職市場に15年以上関わってきた私の感想です。

そして、最後に一番大切な鍵となる要素が「柔軟性」だと思います。私が過去に見てきた研究者の中には「欧米じゃないと嫌だ」、「英語圏じゃないと嫌だ」、「給料が最低でも◯◯万円ないと嫌だ」というような理由で、せっかく目の前にあるチャンスを捨ててしまった人が何人もいました。しかし、自分にとって多少不本意と思われる状況であっても、一旦受け入れてみると、そこからまた新たなチャンスが開けてくることもあると私は思うのです。

台湾で勤務していた時に住んでいた
台北市内のアパートの窓からみた景色
(2007年8月撮影)

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