2017年12月22日金曜日

【第44回】言い訳と説得にみる気質

特定の国の国民を一括りにして国民性を語ることは大変難しことです。これは、個性による例外が必ず存在するからです。とは言うものの、3年以上エカテリンブルクに住み、それなりの数のロシア人と接してみると、やはり全体として日本人とは異なる気質を感じるのも確かなのです。

例えば、「言い訳」と「説得」という観点に注目すると、私の意見ではロシア人の気質は「言い訳する時は論理的、本気で説得する時は情緒的」と表すことができます。

ロシア人はとにかく徹底的に言い訳します。彼らの言い訳は論理的で、言い訳のためには持てる知識を総動員します。決して「言い訳しないで黙っている」なんてことはありません。

人を説得するときにも気質が表れます。ロシア人は、本気で誰かを説得する時は情緒的に振る舞うことが多いです。例えば、私が若いロシア人からある賃金支払いについての交渉を持ちかけられた時、彼が私に対して行った説得は「今の賃金では最近生まれた子供に与えるパンやミルクも満足に買えない。なんとかしてくれないか?」というかなり感情的なものでした。

逆に、ロシア人を説得するときには、法律や規則を理由とした話はあまり効果がありません。「規則でこのように決まっている」と言っても、「何を神経質なことを言っているんだ」と反応が返ってくることがしばしばです。しかし「本当に困っているんだ。なんとか助けてくれよ!」と興奮しながら訴えたら、あっけなく問題が解決することもあるのです。

ただし、もう一度強調しておきたいのですが、国民性というものは、個人の付き合いでは個性に比べると無視できるような話です。いざロシア人と仕事などで付き合うことになった場合は、あまり最初から違いを意識せず、人と人としてニュートラルな気持ちで接することを私はおすすめします。

太陽が低い冬至一日前のエカテリンブルク市内
(撮影時間:午後12時10分)

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